nanishon Caption!

補足説明! ジャンル反復横跳びパーソン

配信視聴者の1年半 〜消極的Twitchライフスタイル〜

まえがき

はじめまして。なにしょん(@nanishonshon)といいます。
 
はじめに、この記事はTwitchストリーマーであるのほほさんが主催された「Streamer Advent Calendar 2023」という企画の一記事として執筆しています。YouTube、Twitchなどの配信プラットフォーム・界隈・立場・内容を問わず記事を発表できます。
 
一応自分もチャンネルを持っててたま〜に配信はしているのですが、他の記事タイトルを確認すると配信者の方が多めに見えたので、今回は完全にいち視聴者側としてのお話をします。
とくに何も成し遂げません。役に立つTipsもありません。メッセージ性もありません。一つのモデルケースを並べているだけだと思っていただければ幸いです。
 
軽く自己紹介すると、東京都在住の20代です。いろんな界隈を行ったり来たりしていますが、たぶんこの記事に辿り着いてくださった方はスマブラの競技勢が多いのかなぁと思ってます。
 
2022年2月あたりからTwitchの配信を観始めるようになりました。それをきっかけにいろいろ遊んでいたらe-Sportsシーンや最新のゲーム事情に興味を持つようになって、特にスマブラの競技コミュニティに縁深くなりました。
一応社会人で、校正業を生業としています。一応と書いているのは数ヶ月前からお休みしてて現在はほぼニートだからです。特技はYouTubeの"T"が大文字か小文字かにほぼ100%目がいくことです。
 
あと、児童小説・YA小説が好きです。最近の個人的スマッシュヒットは、にかいどう青さん著の「スベらない同盟」で、スクールカースト上位の中学生がいじめられっ子と漫才コンビを組んで文化祭を目指す苦くてさわやかな青春小説です。ぜひ読んでください。

 
 
あと、妖怪ウォッチが好きです。使わなくなったウォッチ・メダル・フィギュア・その他グッズがお手元にありましたら、是非お譲りください。

 

 

 

 

まずは2019年までの自分を軽くおさらいしてみると、自分は世間一般よりもゲームを「しない」側の人間だったと思う。とはいえオタクじゃなかったかと言われるとそうでもない。少なくとも「スターフォックス2」をやりたいがためにミニスーファミを買うくらいのマニアではあった。
ただ、いろんなものに手を広げすぎていた。特撮、演劇、イナイレ、映画、etc......。ひとつひとつに満足な時間を割くことができず、一定周期ごとに優先順位が入れ替わる。絵にも手を出し始め、慣れない板タブでちょくちょく描いている。すでにそれら一つひとつについて集中して深めることは難しい。この現状で、受動的趣味の中では多大な時間を要するゲームの優先順位は相当低かった。
かなりの偏食で、興味の偏りようが凄まじく、知識が点々としていて線でつながらない。最新のゲームに対するこだわりもない。9000円払えば過去のタイトルが21作品も手に入り、それすらも遊び尽くせていないのに、わざわざ最新ハードにリソースを割く気なぞ起きなかったのである。
 
 
潮流が少し変わったのは2019年4月。
 
友人からスプラトゥーン2に誘われた。このときのぼくのリアクションは、「Nintendo Switchってたまに聞くけど、もう発売してるの?」だった。発売日は2017年3月3日らしい。
ちなみにぼくのいいところは好奇心が旺盛で、人から勧められたものに対するフットワークが軽いところだ。Prime Nowで注文したので思い立った3時間後には本体とソフトが手元に届いたが、そのスプラ2もゲーム筋が備わっていなかったために全くついていけず、気がつけばぼくのSwitchはすぐに棚の肥やしになって9ヶ月が経過した。
 
 
コロナ禍の直前、学生時代の友達との宅飲み中にせがまれ、深夜3時に勢いで購入したゲーム。それが、大乱闘スマッシュブラザーズSPECIALだった。このときのぼくのリアクションは、「スマブラってSwitchで出てるの?」だった。発売日は2018年12月7日らしい。5周年おめでとうございます。
充電ケーブルを持っておらず3時間後には力尽きるSwitchで慌ててダウンロードして、テーブルモードでJoy-Conを片方ずつ持ち合って遊んだ。遊ぶ相手はもっぱらその友達で、そこはキンクルのDAが何もかもを解決してくれる世界だった。
 
お互い素人ながら、一応その友達の方がぼくよりも上手く、過去作の経験もあり、対戦ゲームの勘所もわかっていたので、考えもなしに何連敗もしていると次第に「一応1ファイターくらいはちゃんと使えるようにならないとマズいのでは......?」と思うようになってくる。
でも性能の良し悪しなぞ全くわからない。どのファイターが自分に合うかも全くわからない。もっと言えば、別に愛着のあるキャラもいない。
一応「スマブラ 初心者 選び方」とググってみるものの、一から十まで内容がわからないので自分に当てはまる気もしない。悩んでも悩んでも、今いる地平からでは答えが見える気がしない。
 
 
こうなりゃルックスだ。
ルックスで選ぶしかない。
顔が良くないとモチベを保てる自信がない。
 
 
ついに白羽の矢がたった。
 
 

 
このファイターの撃墜技の要は空中で反対の向きにスティックを倒しながら弱攻撃ボタンを押すことで放つ「空中後ろ攻撃(通称:空後)」で、これが出来ないと実際の立ち回りでは話にならない。ちなみにこの頃のぼくは空後という存在自体を知らない。
 
機動力が高く体重の軽い差し合いキャラとポンコツゲーム初心者の相性は言うまでもなく最悪であり、当然ボコボコにされた。
これじゃいかん。もっとこのファイターのことを知るべきじゃないか。そうやってキャラ理解のために「ソニック・ザ・ムービー」(監督:ジェフ・ファウラー, 2020年公開)を観たところ見事にハートを鷲掴みにされ、歴代のメインシリーズをプレイしたりアニメを追ったりするのに忙しくなったのでここでスマブラは一旦塩漬けになった。
 
 
 

もともとTwitchには、RTA in Japanをチェックしたりソニック公式がたまに行う生配信を観るためにアカウントを作ってはいた。逆に言うとその2つ以外はほぼ観ていない。nanishonshonというアカウント名はこれを作るために5秒で考えた。本名じゃなければなんでもよかった。でも濁音がなく拗音が入ってて、どことなくふにゃけた響きの単語を選んだのはぼくの本能によるところかもしれない。
 
2022年2月のとある暇な深夜。
 
とあるひとりの配信者さんが目に入った。
きっかけは全く覚えてない。導線も。強いて言うなら、当時のぼくが目に留めそうな内容ではあった。
そこではスマブラを使った4人がかりの撮影会を画策していた。具体的にはウルフとファルコを使って、なんか......こう......個人的に琴線に触れるアツい画を撮ろうとしており、どこからか流れ着いた自分はそれを楽しんで眺めていた。
 
ぼくは率直に、その画を見てみたくて仕方がなかった。このコミュニティがおそらくいつものようにやっているであろう遊びを、ハジっこからおすそわけしてもらうくらいの心積もりだった。
ところが、それを実現するための人数がひとり足りていないらしい。
他に誰かが名乗り出る気配もない。え? これひょっとして自分が行けば解決する? でもいきなりそれは踏み込み過ぎなのでは? 眼前の配信が知り合いに向けてクローズドに発信してる類のもので、門外漢が入ることで和を乱す可能性もあるのでは?(誤解です)
猶予はそれほどない。少し悩んだ結果、いきなり名乗りを上げて知らない配信に潜り込む怖さや羞恥心よりも、今これが頓挫したときの惜しさの方が勝った。旅の恥はいくらかき捨ててもいい。大して技術が要求されない作業だったので初心者でも参加しやすかったのもある。
当時のSwitchユーザー名は友達との対戦のみに使用していた「ワニつかい」。初戦に環境キャラであるワニを出して、崖際吸い込みで相手のガノンを射出しまくってとりあえず一度キレられる流れがお約束だった。
 
深夜の、3人の知らない誰かとの、共同作業。
自分が操作した結果が、知らない人の配信に映っている。少し怖い。でも、ちょっと楽しい。
 
 

寝姿、完全にわんこ。たまらん(提供:ふろあつめさん)
 
 

【特別ふろく!:推し配信者烈伝その1】

ふろあつめ(furo_atsume) さん

 
[漫画家|アニメーター|イラストレーター|絵本作家]系ストリーマーな感じの人。
お絵かき配信やスマブラ配信を主として、いろんなことをされています。ホビアニのような躍動的な絵から、絵本にマッチする淡めの絵までバッチコイな方で、配信画面や本人の雰囲気から醸し出る"あの頃の秘密基地"のような空気感が居心地いいです。
 
ぼくがTwitchに浸かることになったきっかけ。ビッツ・レイド・クリップといったTwitchの文化・風土は彼を通して知りました。
「自分の推し」を推すために配信をしていると自負されており、時おり飛び出すいきいきとした語り口の"推し語り"は、一聴の価値あり。
おそらく自分と世代が被ってて、好きなものの話が大体通じるのが楽しいです。一方で、時々話される"作る側"としての思考や視点は、その周縁で仕事をしている自分は興味深く聴いています。
 
ここまで書いてみたところで、なんかこれ言葉での説明には限界があるな〜と思ったので、気になった方は実際に訪ねてみてくださいね。
最近は本業でのご活躍が目覚ましく、ご自身のペースで配信されています。
 
今回の「Streamer Advent Calendar 2023」にも寄稿されています。ぜひ。

 

 
 

この体験をきっかけにその方の配信にお邪魔するようになる。すると、次第にTwitchそのものへの理解が醸成されていった。
Twitchは配信終了時に自身の視聴者を丸ごと別チャンネルの配信へ送り込む「レイド」というシステムがある。横のつながりをシステム側で担保しており、ひとつのチャンネルを観ているだけでも他の配信者さんに辿り着きやすくなっていた。その方のお知り合いの配信者やスマブラプレイヤーも気になってくるようになる。
 
加えて、その方はいわゆる"推し語り"がすごく得意で、配信の中でスマブラのプロプレイヤーに関する話題がちょいちょい出てくる。どんなプレイヤーを推しているか。どのファイターを使っているか。どういった応援をしているか。こうこう大きな大会に出場して、結果どういう成績を収めたか。
少なくともそれまでのぼくには、スマブラの大会や有名プレイヤー、テクニックの名前などひとつも知らない側の人間だったので、新しい世界を覗き見るような気持ちで観ていた。ぼくのいいところは好奇心が旺盛で、人から勧められたものに対するフットワークが軽いところだ。次第にその方の推しであるスマブラプレイヤーの配信にもお邪魔するようになり、それを皮切りに世界が広がった。もともと人からオススメされたものに軽率にハマる性質があり、それがTwitchのシステムと相性が良かったのかもしれない。
 
 
そこから先はあれよあれよと。
 
スマブラのもっと競技的な楽しみ方は何か。著名なソニック使いは誰がいるか。テクニックは。VIPへ到達するには何が足りないのか。今の自分でも出れそうな大会はあるか。スマブラに関するあれこれを調べているうちに、スマブラが一気にぼくの生活の一部に躍り出ていく。
 
ソニックのバーストにはどうやら空後が不可欠らしいと(ついに)知って、トレーニングモードで試行し続ける。小ジャンプが差し合いにメリハリを与えると知り、ジャンプボタンの押し加減を体に覚えさせる。がんばってたら、本編のソニックシリーズでも小ジャンプが狙って出せるようになっていた。点と点が少しつながった。
 
大会の配信を観戦する。コミュニティの熱が画面越しに伝わる。
 
オフの大会や対戦会に通い始め、次第に顔なじみができる。お家にお伺いしてカジュアルな対戦会をやる「宅オフ」にお呼ばれする。
顔も知らないけど仲の良い人や、話したことはないがなんとなく見知っている人が増えていく。
 
モニターを買い足して、宅オフを自分でも開いてみる。
本業のスキルを活かして、オフ大会に提供するZINEの編集チームに加わる。
 
ゼロから段階を一つずつ踏んでいくごとに、「あー、自分はこのコミュニティに入ろうとしているんだなぁ」という実感が徐々に増していった。半年前までは全く接点のなかった環境に、気がつけばトントン拍子で順応していく自分がいた。
 
 
 

2023年のTwitchの使用状況を集計・開示してくれるTwitch Recap 2023によると、ぼくがこの1年間でTwitchへアクセスした日数は354日だった。2021年まではほぼゼロだったことを考えると、その生活への侵食具合は大したもの。でもしょうがないよ、実際ハードルめちゃくちゃ低いんだから。NETFLIXやU-NEXTはなんか重いから、アイコンをタップするのに目的意識が必要になるんだもん。

その点Twitchは、映画やアニメのようにキチンと成形されたコンテンツではないので、どこから観始めてどこで離れてもよい。最近映画館がおっくうになってきた自分は、この風通しの良さが好きだ。TikTokアクセシビリティだけ見ると似たようなタイプだけど、いろんな短いコンテンツを多量摂取するのは疲れてきてしまう。
 
ラジオよりはテンポがゆっくりめで、なにかの作業と並行していても置いていかれることは少ない。構成作家が存在しないゆえの生っぽさもあって、立場も特技もバックボーンも多種多様な人たちが自分のペースでやりたいことをやっている。
行儀が悪めなノリを内輪で共有する秘めた楽しさもあれば、切実な悩みや身の上話を聞いて自分に置き換えて考えたりもする。もちろんただダラダラとゲームするのを眺めてるだけでもいい。
 
この人は自分と同じ感性な気がするから観ている。
この人は自分にはない考え方を持っているから観ている。
この人は常に視聴者は数人だけど飄々とした語り口が好きで観ている。
この人は学が深いから。自キャラの参考にしたいから。好きなゲームをやってるから。よくわかんないけどなんか落ち着くから。
そのときのシチュエーションや気分に合わせて、お風呂の入浴剤を選ぶような感覚で、視聴者という立場に許される範囲の身勝手を行使して楽しんでいる。
コメントはちょっと怖いので地蔵と化してることも多い。ナマに近いからこそ、他のプラットフォームよりは若干、距離感に気をつけるべきだ。でも大小関わらずいろいろな世界を節操なく覗き見できるのは楽しい。自分が知らない世界を知ったり、好きなものをさらに深堀りすることができる。
 
この前、とあるスマブラのプロゲーマーが配信しているグラセフでわちゃわちゃ絡んでいた相手のお名前をよく見たら、自分が数年前から見聞きしている2.5系の舞台俳優だった。
この人いつの間にTwitchなんて始めてたんだ。YouTubeで俳優仲間とバスケやってるイメージしかなかったぞ。毎年継続して出演しているアレ、今年も素敵だったよ。そんなことをコメントする勇気はまだ自分にはない。
でも、ひょっとしたら明日にはタガが外れてフラットに言葉を投げかけるのかもしれない。
 
全然違う箇所に打った点と点が、ふと一瞬だけ交わる瞬間を見たとき、勝手に自分が少し肯定された気がした。無節操だと、たまにこんな偶然にも巡り会えるらしいです。
 
 

【特別ふろく!:推し配信者烈伝その2】

ぱせりまん(paseriman2) さん


スマブラプレイヤーな人。現在はプロゲーミングチーム「SCARZ」に所属。
スマブラを中心に、大会のミラー観戦・その他ゲームの配信、最近ではリスナーを絡めた配信企画・ファンミーティングもされています。
「ワードセンスが面白い」「コメント欄との掛け合いが好き」「大会で見せる真剣な姿とのギャップ」というのも勿論あるのですが、そういった細かい個々の要素が〜というよりは、「ぱせさん自身の在り方がふんわり好き」という感覚のほうが近い気がしています。
 
特に今年8月頃から、ご自身の悩みや思考を率直に話されることが多くなりました。
ぼくは自分に正直に生きることがド下手なので、色んなことでがんじがらめになりそうなときにぱせさんの在り方を思い出すことが時々あります。
自分の身を持することの難しさにぶつかり、進んだりちょっと停滞したりするぱせさんをこれからも応援しています。シャキシャキ

 
 

あとがき

というわけで以上です。おつかれっした!!!!
 
なんか、ひたすら観ているだけでしたね。スマブラというコミュニティのおかげで少し手を動かすことに混ぜてもらいましたけれども。あとはひたすら観てるだけでした。
 
「何のしがらみも持たない・責任も持たない一視聴者の中にはこういうやつもいるんだな〜」程度に受け止めていただければありがたいです。ぼくの時間を奪ってくれる、これから奪うかもしれない配信者の皆様、本当にありがとうございます。コンテンツかどうかは関係なく、生の声がずっと響くことで救われるやつもおりますゆえ。
 
 
最後に。
 
見かけるとまず飛んでいくタイトルです。
視聴者数を1増やしたい配信者さんがおられましたら、是非やってみてください。
 
 
 

Streamer Advent Calendar 2023はまだまだ続く!
実用的な記事や想いに溢れた記事が目白押しですので、ぜひぜひ追っかけてみてね!!!

 

 

明日16日(土)の記事は、片和木さんの「ほぼ日配信を続ける方法」です。

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